”ピラミッド型”から”スカイツリー型”へ

2023年のスポーツニュースと言えば、WBCでの優勝が注目された。他の競技でも、パリ五輪の出場をかけた大会では日本チームが大活躍している。

昨年秋に開催された五輪予選で、バレーボール男子は08年北京五輪以来16年ぶりの自力出場。

バスケットボール男子は昨夏のW杯でアジア1位となり、自力ではなんと1976年モントリオール五輪以来48年ぶりの出場権を手にした。

ハンドボール男子は昨年10月の五輪アジア予選で優勝し、自力では1988年ソウル五輪以来となる五輪切符を獲得。準決勝で宿敵韓国に34―23で快勝し、決勝ではバーレーンに32―29で競り勝っている。

また、水球男子は昨年10月のアジア大会で53年ぶりに金メダルに輝き、3大会連続の五輪出場を決めた。

主に男子チームであるが、先日もバスケットボール女子(アカツキジャパン)が五輪出場を決めたし、1月にはホッケー女子(さくらジャパン)が五輪出場権を獲得している。このところ日本のトップアスリートが世界で活躍する場面が増えている感じがする。

スポーツのレベル構造は基本的に”ピラミッド型”と言われている。競技人口が多くなるほど、トップアスリートも増えるという構造だ。

一方、日本社会は少子高齢化が進んでおり、トップアスリートとして活躍できる20代~30代前半の人口は減少している。にもかかわらず、今回何十年ぶりの五輪出場となるなど、世界レベルに近づいているのはなぜなのだろう。

競技人口が減少する中で、選手の育成方法が見直され、レベル構造が変化したのではないだろうか?”ピラミッド型”から”東京タワー型”への構造改革とでも言おうか。ハンドボールやホッケーのようにさらに競技人口が少ないスポーツでは、”スカイツリー型”とでも言おうか。何かしらの育成方法の変化があったはずだ。

根性理論から科学的理論に変わったのか?若い頃から海外チームと交流する機会が増えたのか?監督やヘッドコーチを海外から招いたからか?何かあるはずだ。

ますます少子高齢化が進む日本。野球やサッカーなどのメジャーなスポーツでも競技人口の減少を止めることはできないだろう。そのため、これからは”スカイツリー型”の育成方法が必須になっていくと思われる。

また、スポーツに限らず、様々な業種で若い人が減っていく時代。スポーツ界の人材育成方法を分析・学習し、科学技術や芸術などの世界にも広げてほしい。もしかすると政治家や経営者などの育成にも有効かもしれない。

”ピラミッド型”から”スカイツリー型”へ、今こそ転換する必要があるのではないだろうか。